知ってるようで知らない尿:おしっこについて
尿は腎臓でつくられる排泄物。体の中でいらなくなった老廃物。
食事などで摂った栄養素は体内で利用された後、余分な栄養素(取り過ぎたものも含まれます)や老廃物が血液によって腎臓に運ばれます。
腎臓には糸球体という「ろし」の役割をするものがあり、血液中の物質や水をろ過します。
ろ過されたものの99%は尿細管で再吸収され、残りが尿として排せつされます。
取りすぎた水溶性ビタミンや不要になったミネラルも尿とともに排せつされます。つまりおしっこが体内の
- 取りすぎたもの
- 使用済みのいらないもの
を体外に出してスッキリさせてくれるということ。
栄養ドリンクを飲んだり、ビタミン剤を飲んだ後、おしっこが黄色くなることがありますが、それは「使われなかったビタミン」の色です。
尿が濃く、匂いがきつい場合は要注意
汗をたくさんかいて脱水気味の時には、おしっこが濃縮されて色が濃い、茶色っぽいおしっこがでることがありますが、水分を補給すれば色は薄まります。色が濃い、赤茶色っぽいなどの状況が続く場合は何らかの病気の可能性があるので早めに受診してください。
私たち人間の場合、尿の約98%が水。その他の成分としては
- 尿素を約2%
- 微量の塩素
- ナトリウム
- カリウム
- マグネシウム
- リン酸などのイオン
- クレアチニン
- 尿酸
- アンモニア
- ホルモン
いずれも微量。短時間に大量に水を摂取した場合は、100%水である場合も(その場合は無色に見えます)
閉経した女性の場合は、女性ホルモンも排出されます。
尿を排出する意味は?
おしっこを出さなかったらどうなるか?
体内で生産される老廃物は腎臓でこし出され、尿に含まれて排出されるのですが、排出すべき「ッゴミ」がいつまでも体内に残されてしまいます。
特に窒素化合物の排出は重要。有害なアンモニアが出てきてしまいます。
健康な人であれば膀胱内はほぼ無菌状態で、尿自体も血液をろ過したものなので、直感的なイメージはともかく「汚いもの」ではありません。
ではなぜ?体外にでだ尿はアンモニア臭がするのでしょうか?
実は匂いは、体外に出た瞬間から発生するのです。
尿の成分である尿素は、体外の細菌と反応して分解され、アンモニアが発生します。細菌はどんどん繁殖しますから、あの特有のアンモニア臭は時間とともに強くなります。
最初からアンモニアは含まれてはいません。私たち人間は肝臓でアンモニアを尿素に化学変化させてから排出するようにできています。
腎臓は大忙し。だいじな器官の一つです
腎臓はおしっこを作るほかにもたくさんの仕事をします。
- 赤血球の産生を促すホルモンを作る
- 血圧を維持
- 骨を丈夫にするのビタミンDの生産
などが代表的なものです。
腎臓の仕事は(ホメオスタシス=恒常性の維持)と言われる「体内の環境を一定に保つ」というものです。
体内の細胞が活動することによって発生する酸には毒性があるため、体の外に捨てる必要があります。おしっこにはその大切な役目があります。
私たちの血液のpH(酸性か、アルカリ性かを測る単位)は7.4とほぼ中性に近い弱アルカリ性が保たれるよう、厳密にコントロールされています。
しかし、腎臓の働きが低下して酸が捨てられなくなると、血液は酸性に傾き、吐き気や嘔吐(おうと)、疲労感といった症状が出現します。pHが0.1でも酸性に傾くと意識の低下が起こり、死に至ることもあるのです。
膀胱はおしっこをためて、タイミングを計って排出する
膀胱は、尿が溜まったら体外へ排出する。そのタイミングがおかしなことになったり、出す時に痛みを伴うおしっこのチクチク。
膀胱で炎症が起きたのを放っておくと、「腎盂腎炎」という病気に発展します。
おしっこのチクチクと症状が似ている腎盂腎炎ですが、見分け方としては発熱しているかどうかとされています。発熱がなければおしっこのチクチク、発熱していれば腎盂腎炎の可能性が大。
さらに腎盂腎炎は放置しておくと、腎不全になってしまうかもしれない病気です。
腎不全に成ると、体の老廃物をろ過して排出するというシステムがうまく働かなくなり、最悪の場合人工透析か腎臓移植が必要になります。
おしっこのチクチクも、腎盂腎炎も、腎不全も基本的な防御策は
- 尿道付近を清潔にする(ばい菌を侵入させない)
- 免疫力を高める(侵入したばい菌を増やさない)
の2つです。