おしっこのチクチクは膀胱内の粘膜の炎症
膀胱の内面は移行上皮という粘膜で覆われています。
膀胱に尿が溜まってくるとシワシワだった膀胱壁が伸びて、尿が漏れないようにします。
膀胱の容量は350〜600mLです。
ところが膀胱が炎症をおこすと移行上皮が刺激を感じすぎてしまいます。
通常200mlほど尿がたまると「尿意」を感じるのですが、膀胱に炎症があると急に強い尿意を催して尿漏れを起こすことがあります。これが切迫性尿失禁と呼ばれるものでいわゆる「尿漏れ」です。
加齢により膀胱の活動も悪くなり、許容量も少なくなるものですが、まだ若いのに尿漏れをおこす場合は「おしっこのチクチク」になってる可能性があります。
おしっこのチクチクの原因は?
尿道から膀胱に細菌が入り込み、繁殖することで膀胱内の粘膜が炎症をおこすことが原因です。
おしっこのチクチクの原因となる細菌は、
- 大腸菌(80%以上)
- ブドウ球菌
- セラチア菌
などがみられます。
膀胱には細菌の侵入を想定して、もともと抵抗力があるので、細菌が侵入したとしても繁殖が抑えられるようになっています。
しかし、
- 排泄の始末が不衛生
- 不潔な状態で性行為をすること
- 尿意を我慢すること
等によって入ってきた大量の細菌には対応できません。
疲れがたまっていたり、ストレスで体の免疫力が低下すると、細菌が繁殖しやすくなり炎症を起こしてしまいます。
近年、シャワートイレで洗浄するのが当たり前になっています。
肛門、尿道あたりを清潔に保つには、紙で拭くよりもいいと思われがちですが、意外とそれがおしっこのチクチクの原因になっているかもしれないという報告がありました。
排便後に肛門を洗浄する時に、水圧がきつすぎると、便の中の大腸菌が肛門から尿道付近にとびちってしまうことがあるそうです。
外出先の公衆トイレなどでは洗浄ノズル自体が不潔になっている場合もあるので、要注意。
切迫性尿失禁は過活動膀胱の場合が多い
「過活動膀胱」という言葉をTVCMで耳にした方も多いかの知れません。
過活動膀胱は我慢できないような強い尿意である尿意切迫感と、昼夜を問わない頻尿に悩まされます。おしっこのチクチクのような炎症が原因ではなく、「自分の意志に反して24時間、いつでも勝手に膀胱が収縮してしまう」というものです。
過活動膀胱で起こる尿意は、突然やってきます。
もう我慢できるような状態ではなく、すぐにでもトイレに駆け込まなくてはなりません。
実際に出る量はほんの少しの場合がほとんどですが、トイレに間に合わず尿失禁してしまう場合もあります。
いつくるかわからない尿意により不安が増し、ストレスになります。
おしっこのチクチクが原因の場合もありますし、過活動膀胱も場合も、さらにはストレス的な要因もありますので、
- おしっこが近い
- 急な尿意がある
などの場合は、一度泌尿器科を受診されることをおすすめします。
高齢者のおしっこのチクチクの原因は?
高齢になると様々な理由で排泄が難しくなり、パッドやオムツを着けることがあります。
これらは普通の下着とは違い蒸れやすい構造になってしまいます。
特にオムツに排泄をするようになると、大腸菌が尿道からさかのぼって膀胱に侵入しやすくなります。
なるべく早めの交換と、尿道付近を清潔に保つことはとても重要です。
若いころと比べて、ウイルスや細菌から体を守るはたらき「免疫力」は下がってきます。若年層のおしっこのチクチクは性行為や生理が原因の多くとみられますが、高齢者のおしっこのチクチクは基本的な免疫力が低下していることが大きな要因です。